コーヒーの苦味とバニラとの相性

コーヒーはほろ苦さが魅力の一つですが、飲みにくさの原因となる場合もあります。苦味も旨味の一つとしてご自分の好みに合った焙煎の度合いを探し当てる楽しみもあるのがコーヒーです。ミルクや砂糖を加える方法が最も一般的ですが、バニラやナッツ類の香りをつけて飲む方法も知られるようになってきました。今回はコーヒーとバニラの組み合わせを中心にコーヒーの楽しみ方を紹介します。もちろん苦味の強いエスプレッソやブラックコーヒーが好きな方にも、普段とは一味違うコーヒーの一面を感じていただけると思います。

◯苦味とは?

 舌には味を知覚する味蕾が数千個あると言われており、食べ物や飲み物に含まれる物質を感知することで脳に信号が伝わり、「甘味・酸味・塩味・苦味・うま味」の5つ味を認識することができます。苦味は食べ物の見た目や種類では安全性を判断できないため、苦いと感じ吐き出させることで身を身を守るという一種の「毒センサー」として発達しました。ちなみに酸味は「腐敗センサー」として発達したと考えられています。

 大人になるにつれてカフェインの覚醒作用や代謝促進などさまざまな効能を理解したり、実際にコーヒーを飲んで眠気が覚めたり集中力が上がる経験をして、コーヒーが安全であると認識することで次第に苦味がおいしさに変化していくのです。ブラックコーヒーが苦手な方の中にはコーヒーを飲んだ経験が少なく飲まず嫌いをしていたり、コーヒーの健康効果を知らなかったりするという背景があるのかもしれません。

◯コーヒーの苦み成分は?

 コーヒーの主な成分として有名なカフェイン(プリン系アルカロイド)は苦み成分でもあります。カフェインは眠気覚ましや集中力アップ、脂肪燃焼を助けるなどさまざまなはたらきをしますが、その成分の約1割が苦味をもたらしています。

 その他には、リゴネリン(ピリジン系アルカロイド)、クロロゲン酸ラクトン類のほか糖類の熱変化から出来るコーヒーメラノイジンなどが関係していと考えられています。 カフェインは焙煎度が深くなるほど減っていくので、カフェイン以外の成分のクロロゲン酸から変化するP-ビニルカテコール重合物という苦味成分もコーヒーの苦味の原因と考えられるようになってきました。

 近年知られるようになったコーヒーに含まれる苦味成分として、ジケトピペラジンという物質があることが分かってきました。ジケトピペラジンは加熱によって生成される苦味物質で、コーヒーの苦味を左右する成分の一つと言われています。

◯焙煎の度合い

 同じコーヒー豆でも焙煎度合いによって味が変わることをご存じでしたか?コーヒー豆の焙煎の度合いは大きく分けて「浅煎り」「中煎り」「深煎り」の3段階あります。さらに細分化した8段階の焙煎度合いが基本となります。コーヒー豆の銘柄や品種などによって違いはありますが、一般的に「浅煎り」であるほど酸味が強く、「深煎り」であるほど苦味が強くなります。8つの段階ごとにそれぞれの風味や特徴がありますので、簡単にご紹介します。

 ・ライトロースト(Light roast)【極浅煎り】

  :うっすらと焦げ目がついた程度の小麦色。コーヒーらしい香りやコクはほとんどなく一般的に飲まれることはほとんどありません。

 ・シナモンロースト(Chinamon roast)【浅煎り】

  :豆の青臭さが残り、酸味がとても強いため、こちらも飲用には適しません。

 ・ミディアムロースト(Medium roast)【中浅煎り】

  :香ばしさやまろやかさのある酸味、そしてわずかな苦味が感じられ軽やかな口当たりで「アメリカン」に使用されます。

 ・ハイロースト(High roast)【中煎り】

  :さわやかな酸味、苦味や甘みのバランスが良い焙煎度合いで、やや浅めの「レギュラーコーヒー」として用いられます。

 ・シティロースト(City roast)【中深煎り】

  :深煎りの最初の段階で、酸味と苦味のバランスが最も取れた焙煎度合いで「レギュラーコーヒー」として一般的に使われます。

 ・フルシティロースト(FUllcity roast)【深煎り】

  :さらに酸味が少なくなり、苦味とコクが際立ちます。

 ・フレンチロースト(French roast)【深煎り】

  :焙煎度合いが深くなり、コーヒー豆の油が表面を覆いはじめます。酸味はほとんどなくなり、苦味が一層際立ちます。エスプレッソに使われることが多いですが、カフェオレやウィンナーコーヒーなどにも向いています。

 ・イタリアンロースト(Italian roast)【極深煎り】

  :黒色近くまで煎ったコーヒー豆の表面は油分でツヤツヤしています。焦げたような香り、重厚な苦味と深いコクが特徴で、エスプレッソやカプチーノに適しています。

 コーヒーの酸味、苦味、甘み、香りは、コーヒー豆を焙煎することではじめて生まれます。自分好みの焙煎の加減を知って

◯コーヒーとバニラは相性抜群

 以前の記事でもご紹介しましたが、バニラはその甘く芳醇な香りで心を落ち着かせてくれます。そしてコーヒーは力強い香りやコク、苦味が特徴です。それぞれが別々に楽しまれてきたこの二つの香りが一つになることで新たな複雑さとともに調和も生み出してくれます。コーヒーとバニラの相性がよい理由は、香ばしい苦味とコクのある甘さの両方を同時に楽しめる点が挙げられるでしょう。コーヒーにバニラ特有のやさしく甘い香りが加わることで、ミルクや砂糖とは異なる楽しみ方ができます。コーヒーの苦味が苦手な人であっても、バニラの甘い風味がコーヒーの苦味をマイルドにしてくれるため飲みやすく感じるでしょう。

 バニラとコーヒーの組み合わせはただ美味しく飲む以外にもメリットがあります。その具体的な効能をご紹介しましょう。

 まずバニラが持つリラクゼーション効果があります。バニラはその甘い香りからリラクゼーション効果があるとされています。気分の改善だけでなく、血行促進といった体の健康から、抗酸化作用による美肌効果や老化防止まで多くの効果があるとされます。心身ともに深い安らぎを感じることができるでしょう。

 さらに、バニラにはカロリーが少ないという利点もあります。バニラはその甘さからカロリーが高いように思われるかもしれませんが、バニラビーンズ1本(約5g)は12~13kcal程度で、コーヒーに使う場合1cm程度とするとミルクや砂糖に比べてカロリーは圧倒的に少ないです。ダイエット中でも無理なく美味しく楽しめる一杯になることでしょう。

コーヒーとバニラの相性はとても良く、バニラの甘い香りでコーヒーの苦みなどの風味が和らぎますから、コーヒーが苦手な方でも飲みやすくなります。是非一度コーヒーとバニラの組み合わせを試してみてください。

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