インドネシアってどんな国?

インドネシアは東南アジアの中でも経済成長が著しい国ですが、どんな国なのか、インドネシアの人の国民性などを詳しく知っているという人は少ないのではないでしょうか。

◯大小16,000以上の島からなる世界有数の島国

 正式国名はインドネシア共和国といいます。東南アジア南部に位置し、赤道をまたいで東西5,110 km にわたり、大小 1.6 万以上の島々から構成されている島嶼(とうしょ)国家です。国土は約192万平方キロメートルで日本の約5倍にあたります。オランダの植民地時代には、その地形から「オランダ女王の首飾り」と呼ばれていました。

 スマトラ、ジャワ、カリマンタン、スラウェシ、ニューギニアの 5 つの大きな島とその他の多くの群島から成り立っていて、フィリピン、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、パラオなどが海を隔てて隣接しています。

◯人口は世界第4位、平均年齢は29歳のさらなる成長が見込まれる新興国

 人口は世界4位の約2.79億人*(日本の人口の2倍以上)とASEANの 10 ヵ国中で最も多く、総人口の5割が30歳未満という若い国(日本は26%)です。なかでも 15 歳から 64 歳までの生産年齢人口の全人口に占める比率の推移を見ると(図表 1-1)、タイでは 2010 年頃、ベトナムでは 2015 年頃にピークを迎えていますが、インドネシアは 2030 年にむけてピークが持続する見込みと労働市場はこれからも発展する国といえます。

*2023年,インドネシア政府統計

<図表1-1>生産年齢人口(15-64 歳)の総人口比の推移

 首都はジャワ島西部にあるジャカルタで、インドネシアの総人口の約 4%にあたる約 1,061 万人が住んでいます。なお、ジョコ・ウィドド前大統領は 2019 年 4 月にジャカルタからの首都移転を発表しています。移転先は東カリマンタン州(カリマンタン島)で、新首都名は「ヌサンタラ」(Nusantara)となることが発表されています。移転は 2022 年から 2045 年にかけて 5 段階で進められる計画で、第 1 段階(2022~2024 年)では中央政府機関、オフィス、住宅街の開発を進め、公務員、軍隊、警察が家族とともに新首都へ移動することとなっています。

◯日本とインドネシアの関係

 日本とインドネシアは1958年の外交関係開設以来、伝統的な友好国で政治的にも経済的にも連携を重視している関係といえます。

 要人往来も活発で、近年では2023年6月の天皇皇后両陛下による御即位後初の親善訪問や、2023年9月当時の岸田総理大臣がASEAN関連首脳会議参加のためインドネシア訪問をしています。インドネシアからは、当時のジョコ・ウィドド大統領が2023年5月のG7広島サミットや2023年12月の日ASEAN特別首脳会議に訪日していて、首脳レベルでの往来が緊密な関係を表しています。

 外務省HPによると、2023年9月の日インドネシア首脳会談において「岸田総理大臣とジョコ・ウィドド大統領の間で両国関係を包括的・戦略的パートナーシップに格上げすることで一致し、両国及び両国を越えた利益となるような具体的な協力に重点を置くことを確認した」とあります。

 2024年2月には大統領選挙が行われてプラボウォ・スビアント国防相(当時)が約6割の得票で当選し、先月10月20日に正式に就任しました。プラボウォ政権は2045年までに先進国入りすべく国家を発展させていくとのビジョンの下、各分野の政策を推進する方針を掲げています。

 経済面では、インドネシアは毎年4%前後の成長を続けていて貿易額も年々伸び続けています。2019年から2020年にかけては新型コロナの影響で輸入額が大きく減少しましたが、2021年にはV字回復を果たしています。2022年の貿易額は過去最高に達し、貿易黒字は「544億5,560万ドル(約6兆9,670億円)」を記録しました。2023年は世界的な経済不安があるなかでインドネシア政府は「輸出伸び率+12.8%」「輸入伸び率+14.9%」と強気の予想をしています。

<図表1-2>インドネシアの貿易額の推移

 日本との関係においては、財務省貿易統計によると2022年にはインドネシアの対日輸出額は19,791億円、対日輸入額は37,720億円と日本の貿易相手国10位に位置しています。

 取引品目としては、日本はインドネシアから天然ガスや石炭、石油など天然資源を中心に輸入しています。インドネシアは日本から主に農機や建機などの一般機械、輸送用機器やプラスチックなどを中心に輸入しています。興味深いのは、インドネシアに進出している日系企業の中でヤクルトが広く認知されていて売上にも表れています。ヤクルトは1991年にインドネシアに進出して、今では日本に次ぐ第2位の市場に育ち1日700万本以上を売り上げています。インドネシアでは取扱製品をヤクルト1本に絞っていて、スーパーマーケットやショッピングモールでの実演販売と併せて日本同様に「ヤクルトレディ」が活躍しており重要な販売チャネルになっています。

◯インドネシア人の国民性

 堅い話が続きましたが、最後にインドネシア人の国民性をご紹介します。インドネシアは約500の民族からなる多民族国家です。そのため民族によっても国民性に違いがあります。そのなかで共通の価値観といえるのが宗教を大切にすることです。イスラム教を信仰する人が多いですが、他の宗教を信仰している人もたくさんいます。また、一口にイスラム教と言っても信仰の度合いや生活習慣には違いがあるのが特徴です。例えば、イスラム教では酒と豚肉は禁忌とされていますが、どんなに微量でも絶対に口にしないという人もいれば、豚由来の成分が入った薬などは必要に応じて使うという人もいます。ただ、どちらの場合も自分が考える戒律と他の人の戒律が異なるからといって非難をすることなく、お互いの宗教を尊重し価値観を認める人が多いのが特徴です。

 他にも、インドネシアでは、次のような性格の人が多いといわれています。

    ・おおらか

    ・前向き

    ・温厚

    ・明るい

    ・礼儀正しい

    ・急がない

「何とかなる」の前向きな精神で、おおらかで明るく、温厚な人が多いといわれています。また、信心深く、礼儀正しいという特徴もありますが、一方で急ぐ習慣がなく時間にルーズな面もあります。

 インドネシア人の魅力にその友好的で温かい性格が挙げられます。一般的に人懐っこく、他人に対する思いやりが深いです。また、家族やコミュニティとのつながりを大切にし、互いに助け合う文化が根付いています。そして困難な状況でも前向きな態度を持つ楽観的な一面があります。

 このような国民性に加えて、親日的で日本文化に対する理解も深いので、私たち日本人と良好な関係を築くことができると言えるでしょう。

このブログではインドネシアの経済やさまざまな情報を発信していきます。10年近く現地で活動してきた当社ならではのユニークな情報もお伝えしたいと考えていますのでお楽しみに!

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